新しい衛星網はGlobalstarの周波数を使用し、2028年から配備を始める計画です。Amazonが構築中のブロードバンド衛星網と並行して運用されます。
Amazonの衛星通信部門Amazon Leoは2026年7月27日、最大5,105基の低軌道衛星を打ち上げ、運用するための申請書を米連邦通信委員会に提出しました。新しいDirect-to-Device衛星網は、対応するモバイル端末に音声通話、メッセージ、データ、緊急通信サービスを直接提供する計画です。衛星の配備は2028年から始める予定です。
今回の申請は、Amazonが直ちに衛星網を構築できるようになったことを意味するものではなく、FCCによる審査を求める段階です。Reutersは、Amazonが迅速な承認を要請しており、FCCは報道時点でコメントしていないと伝えました。
既存のブロードバンド網とは別に構築
新しいD2D衛星網は、Amazon Leoが構築中の第1世代・第2世代ブロードバンド衛星網とは別のシステムです。Amazonによると、新しい衛星は既存のAmazon Leo網およびGlobalstarのHIBLEO、C-3衛星群と並行して運用されます。
既存のブロードバンドサービスでは、Leo Nano、Leo Pro、Leo Ultraという専用アンテナを使用します。一方、D2Dサービスは、衛星通信対応チップセットを搭載したスマートフォンなど、対応するモバイル端末に直接接続する方式です。サービスの提供では各国の移動通信事業者と提携する計画です。
Amazonが示したサービスには、音声通話、メッセージ、データ、緊急通信が含まれます。地上通信網が届かない地域での災害対応、遠隔作業、車両管理、センサー接続などにも利用できると同社は説明しています。
高度510~580kmの5つの軌道群
Amazonは申請書で、5つの軌道群に衛星を分けて配置する構成を示しました。中緯度地域向けが3群、高緯度地域向けと極域に近い地域向けがそれぞれ1群です。
| 軌道群 | 高度 | 軌道傾斜角 | 計画するサービス地域 |
|---|---|---|---|
| Shell 1 | 580km | 55.7° | 中緯度 |
| Shell 2 | 560km | 58.2° | 中緯度 |
| Shell 3 | 510km | 56.3° | 中緯度 |
| Shell 4 | 570km | 73.0° | 高緯度 |
| Shell 5 | 540km | 84.0° | 極域に近い地域 |
衛星とモバイル端末の直接通信にはLバンドとSバンドを使用します。衛星からAmazonの地上局とインターネットへ集約した通信を送る回線には、別のKaバンドとVバンドを使います。
Amazonによると、新しい衛星は信号を地上へ中継するだけでなく、軌道上で処理する設計です。衛星間をレーザーで結ぶ光通信や、特定の地域に通信容量を振り向けるデジタルビームフォーミング、ビームホッピング技術も採用します。
Globalstarの周波数を使用
今回の申請は、Amazonが2026年4月にGlobalstarの衛星運用事業、インフラ、周波数資産を取得することで合意した後に行われました。AmazonはGlobalstarが保有する移動衛星サービス用の周波数を新しいD2D網に利用する計画です。
Globalstarは現在、地上通信網の圏外にある数百万台のApple端末に、緊急メッセージ、位置情報共有、ロードサービス要請などの衛星機能を提供しています。Amazonは、新しい衛星網がGlobalstarの既存衛星群を置き換えるのではなく、並行して運用されると説明しました。
Reutersは、SpaceX、AST SpaceMobile、Lynk Globalも衛星と携帯電話を直接結ぶサービスを開発していると報じました。Amazon Leoはブロードバンド衛星通信事業で、Vodafone、DirecTV、南アフリカのHerotel、オーストラリアのNational Broadband Networkとの提携も発表しています。
既存のブロードバンド衛星は390基超
Amazonは新しいD2D網を申請する一方、既存の第1世代ブロードバンド衛星網の配備を続けています。同社によると、軌道上にあるAmazon Leo衛星は390基を超え、2026年中に一部の緯度帯で固定ブロードバンドサービスを始められる範囲を確保しました。
現在軌道上にある衛星は、新たに申請した5,105基のD2D衛星群ではなく、既存のブロードバンド網に属します。携帯電話への直接接続用衛星の配備は、規制当局の承認を前提に2028年から始まる予定です。
