2026年7月14日、IBM株は25.2%急落しました。APはFactSetのデータをもとに、少なくとも1972年以降でIBMにとって最悪の1日だったと報じました。同じ日にS&P 500は0.4%、Nasdaqは0.9%上昇しています。
市場全体の下落に巻き込まれたのではありません。投資家は、IBMが先に公表した第2四半期の暫定業績、顧客予算の移動、予定どおりに成約できなかった大型案件に反応しました。
IBMが公表した暫定業績
第2四半期の暫定売上高は172億ドルで、前年同期比1%増でした。調整後1株利益も2.93ドルと5%増えています。それでも、どちらも市場予想を下回りました。
| 第2四半期の指標 | IBMの暫定値 | FactSet予想 | 差 |
|---|---|---|---|
| 売上高 | 172億ドル | 178億6000万ドル | -6億6000万ドル |
| 調整後1株利益 | 2.93ドル | 3.01ドル | -0.08ドル |
| ソフトウェア売上高の伸び | +5% | — | — |
| インフラ売上高の伸び | -7% | — | — |
売上高は市場予想を約3.7%下回りました。一方、株価の下落は25.2%です。この2つは基準が異なります。3.7%は1四半期の売上高と予想の差であり、25.2%はIBMが将来稼ぐと期待されていたお金を市場が再評価した結果です。
AIが原因だったのか
AI需要は原因の一部ですが、企業がIT投資を止めたわけではありません。
IBMによると、6月末の数週間に顧客は四半期の設備投資予算をサーバー、ストレージ、メモリーへ移しました。供給が限られる機器を、予想される値上がりの前に確保するためです。APはその値上がり圧力をAIブームと結びつけています。
企業の四半期予算が決まっていれば、緊急性の高いハードウェア購入に使った分だけ、ソフトウェア、メインフレーム関連製品、コンサルティング案件に回すお金や時間が減る可能性があります。IBMはZメインフレームと関連ソフトウェア、特にTransaction Processingが想定を下回ったと説明しました。急速に変化したサイバーセキュリティ問題も顧客の判断を遅らせました。
予算の向きが変わるなかで、IBMの対応も遅れました。IBMは多くの大型案件を想定した日程で成約できず、それが業績未達の大半を占めたと認めています。延期された案件が後で売上になる可能性はあります。しかし投資家は、単なる延期がどれだけあり、失注がどれだけあり、同じ予算圧力が続くのかを見直す必要があります。
なぜ株価は業績差より大きく下げたのか
売上高が予想より6億6000万ドル少ないからといって、企業価値が自動的に25.2%減るわけではありません。今回の下落には、IBMの予測と実行力に対する信頼の低下も含まれています。
IBMはz17の発売効果が一巡するため、通年のインフラ売上高は1桁台前半の減少になると見込んでいました。しかし第2四半期のインフラ売上高は7%減り、会社自身も想定より悪かったと説明しました。顧客予算の変化に十分速く対応できなかったことも認めています。
すべての事業が弱かったわけではありません。Red Hatの売上成長率は11%に加速し、Distributed Infrastructureは37%増え、期末の受注残は約5億ドルでした。問題は、一部製品の強い需要をIBM全体の売上高とソフトウェア成長につなげられるかです。
25.2%の急落は、市場が1四半期の業績だけでなく、大型案件が売上になる時期、メインフレーム関連ソフトウェアの販売、経営陣の実行力により大きなリスクを付けたことを示唆します。これは値動きの大きさからの解釈であり、次の四半期を予測するものではありません。
1,000ドルはいくらになったか
25.2%下落すると、元のお金の74.8%が残ります。
| 計算 | 金額または上昇率 |
|---|---|
| 最初の投資額 | 1,000ドル |
| 25.2%下落による損失 | 252ドル |
| 下落後に残るお金 | 748ドル |
| 1,000ドルに戻るために必要な上昇率 | 約+33.7% |
急落前にIBM株へ投じた1,000ドルは748ドルになります。748ドルから1,000ドルに戻るには、25.2%ではなく約33.7%の上昇が必要です。小さくなった金額を基準に、失った252ドルを取り戻すためです。
この計算はIBM株が回復すると予測するものではありません。1日の損失を取り戻すために必要な上昇率を示しているだけです。
まだ分からないこと
今回公表されたのは一部の暫定業績です。IBMは最終結果が少し変わる可能性を示しており、通常の決算説明会は7月22日に予定されています。延期された大型案件が実際に成約するのか、顧客予算の移動が通期見通しをどこまで変えるのか、ZとTransaction Processingの弱さが1四半期で終わるのかが残る論点です。
今回の急落には2つの要素があります。市場予想を下回った業績と、IBMが見込んだお金をいつ回収できるかに対する信頼の低下です。AI投資が消えたのではなく、投資先が急に動き、IBMはこの四半期にその不利な側に立ちました。
この記事は出来事と損失の計算を説明するものです。IBM株の売買を勧める投資助言ではありません。
