原油価格が上がると、ガソリン価格はすぐ上がるように感じます。ところが原油価格が下がっても、ガソリンスタンドの価格はなかなか下がらないことがあります。車を使う人にとっては、通勤費、配送コスト、旅行費、毎月の生活費にそのまま響きます。
この動きは英語圏で「ロケットと羽」と呼ばれることがあります。上がる時はロケットのように速く、下がる時は羽のようにゆっくり、という意味です。すべての店が不当に価格を上げているという話ではありません。原油価格が店頭価格に届くまでの道筋が、単純ではないということです。
ガソリン価格は原油だけでは決まりません
原油価格はガソリン価格の大きな要素です。ただし、店頭価格には税金、精製コスト、物流費、販売費、人件費、賃料、カード手数料、地域の競争環境も含まれます。
そのため、原油価格が下がってもガソリン価格全体が同じ割合ですぐ下がるわけではありません。税金が自動的に下がるわけではなく、物流費や精製コストも一日で消えるわけではありません。
日本のように原油をドル建てで輸入し、消費者が円でガソリンを買う国では為替も関係します。原油が下がっても円安が進めば、店頭価格の下落は小さく見えることがあります。
上がる時はなぜ早いのか
原油価格や卸売価格が上がると、販売側は次に仕入れる燃料の価格を意識します。今タンクにあるガソリンは安く仕入れたものかもしれません。それでも売ったあとに高い価格で補充しなければならないなら、今の販売価格を上げる理由になります。
価格を上げるのが遅れると、次の仕入れで利益が薄くなったり、損失が出たりします。だから上昇局面では「次の仕入れコスト」が早く反映されやすくなります。
消費者から見ると納得しにくい動きですが、販売側は手元の在庫だけでなく、次に補充するコストを見ています。
下がる時はなぜ遅いのか
逆に原油価格が下がる時は、別の理由が出てきます。高く仕入れた在庫がまだ残っているかもしれません。精製会社や卸売価格がまだ十分に下がっていない場合もあります。
また、近くの店が値下げしていなければ、自分だけ先に大きく下げる動機は弱くなります。競争が激しい地域では価格が動きやすく、選択肢が少ない地域では下がり方が遅くなりやすいです。
つまり、原油価格が下がっても、その変化は精製、卸売、配送、在庫、地域競争を通ってから店頭価格に届きます。
家計には時間差がきつい
理由があっても、ガソリン代が高いこと自体は変わりません。上がる時が早く、下がる時が遅いと、家計は負担を先に受け、負担の軽さは遅れて感じることになります。
だからガソリン価格は物価の話になりやすいのです。価格表示は毎日目に入り、数円の差でも月の燃料代ではお金の差になります。車で仕事をする人にとっては、さらに直接的なコストです。
まとめ
ガソリン価格は原油価格だけではありません。そこに税金、精製、物流、在庫、為替、地域の競争が重なります。
上がる時は「次の仕入れが高くなる」ことが早く反映され、下がる時は「高く仕入れた在庫が残っている」ことが値下げを遅らせます。これが、ガソリン価格が上がる時は早く、下がる時は遅く感じられる理由です。
この記事は価格の仕組みを説明するものです。特定企業の評価、原油価格の予測、投資助言ではありません。